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BHUTAN

​ブータン

ホンモノの豊かさを探しに
​ブータンへの旅

     2018.11.21~11.29  

◆便利さの裏側


これまで世界30ヵ国あまりを旅してきた中でも、今回初めて訪れたブータンはとても興味深い国でした。

ブータンは、「国民総幸福量」(GNH)を国の独自の指標として掲げていることで知られています。

数年前には国王ご夫妻が日本を訪問され、お二人の人柄からも感じとれる精神的な豊かさ、その「GNH」をどのような形で実現・継続しているのかと共に、今回の訪問先である環境NGO 「SJI」やチモン村でのオーガニックコットンプロジェクトにも興味を抱き、「NGO ナマケモノ倶楽部」主催のブータンツアーに参加させていただきました。

直行便は無く、今回はインドのデリー経由でグワハティまで空路。

そこからは大陸での国境越えで、先ずはペマ・ガッツエルへ。

最初の衝撃は、インドの街並み、至る所に散らばるプラスチックのゴミ…
便利に使われそのあとの処理体制が整っておらずにポイ捨て状態、川や道路には土に還らずプラゴミの山…
そんな状況もひとりひとりの行動とはいえ、国が目指す方向が一般市民の生活に現れている証拠なのでしょう。


ITなど最新技術教育に目を向け、地球のこと、環境の事などへの教育や意識の欠如はインドばかりではなく、様々な環境問題が騒がれ、情報も入りやすくなった現代においても、意識の変革にはまだまだ時間がかかると感じました。

山羊がプラスチックの入れ物ごと食べ、牛の死骸からは多くのプラスチック。神奈川県でも以前🐋の死骸からプラごみが多くあった事件など、世界中の海や山、そして町でも起きているプラゴミで、地球上のたくさんの動物たちが犠牲になっていることを再認識させられました.....。

 

インドとブータンの国境越えはほんの100メートルほどであったにもかかわらず、いざ国境を超えてみると、国の空気感やエネルギー、スピリットは誰もが感じられるほどの違いには驚きました!

場のエネルギーはそこに暮らす、過ごす人たちのに大きく影響されますが、そんなことが国としても感じられる!

素晴らしい旅が始まる予感のブータン入りです。

東ブータンへの旅


急速に進む近代化と昔ながらの生活文化が溶け合う都市テインプーのある西とは異なり、古き良きブータンが感じられ、今も昔ながらの生活が残っている村の多い東ブータン。

今回私たちが向かうそれぞれの場所への移動は峠越えが多く、どこへ行くにも3~4時間のドライブ。まだまだ道路も舗装されていない箇所が多く、埃と上下左右に揺れながらの車の移動は、かなりハードではあったけど、標高3000~4000mあたりはたいてい原生林に覆われ、そんな急峻な地形による気温差から生物多様性が生み出されているという東ブータンは魅力も多い。

先ず最初に向かうのは、ペマ・ガッツエル。
言語的にも古俗を残しているとも言われ、近年まで外国人がほとんど足を踏み入れることのなかった禁断の地域と言われている。
その道中、私達を先ず迎えてくれたのは、ブータンでも珍しい白いサルのラングーン一族や鳥たちの歓迎!


そんな旅の良い兆候を感じながら、風になびく様々なダルシンに、これから始まる東ブータンの旅に思いを馳せ、まだ見ぬ世界にワクワク!車は砂煙と共に延々と走り続けます。

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GNH教育

 

ペマ・ガッツエルに入り、ユルン村の小中学校とチモン村の小学校を訪問。
誰もが平等に教育を受けられる環境と共に、「GNH思想も教育から」という国家の姿勢があらゆるところに感じられ、改めてブータンの未来に期待を感じる訪問でした。
(下記写真1枚目:ユルン村の学校にある建物の表示)

現在(訪問時)504人ほどの生徒がいるユルン村にある学校では、2009年から朝礼時には先ずは毎日「瞑想」からスタート!

そのような時間を設けているということからも、精神性をとても大事にしていることが伺えます。

その時に生徒が目にするボードが3種類、国王や前環境庁からの素晴らしいメッセーを掲げたボードと共に、GNHの基準が6個掲げられているボード(下記写真真ん中:ピンクのボード))。
なんとそちらは1~4段階のレベルで基準に沿った教育をしているかどうかを毎年チェックされる中、この学校では昨年「すべてがオール4!」と、素晴らしい教育を行っています。

 

さらに教育費や地方から寄宿生活の費用などはすべて無償と言うことから、幼い頃から親元を離れ寄宿生活も普通という環境からか、笑顔にはあどけなさもある中、しっかりと自立した雰囲気も感じられ、未来を担う子供たちには希望を感じます。

その後は、チモン村の生徒数66人という小さな小学校を訪問。先生はじめ学校あげてのおもてなしを受け、子供たちの歓迎の踊りにはとても心が温かくなり、最後は私達からも1曲お返しの歌と踊りも披露させていただきました。
そんな心温まる交流は、昭和30年代生まれの私にはなぜか昔懐かしい記憶が蘇ります。
「ブータンの未来は明るい」と感じた小学校の訪問でした!

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村の自立と持続可能な生活~チモン村とダゴン村~


44世帯あるダゴン村では、ほとんどの世帯がブータンで有名な黒砂糖を、サトウキビから伝統的なやり方で生産をしています。
不思議な三角形となることも昔ながらの型を使用と理解できましたが、使い勝手は「?」なので、今後は新たな形も考えられると、もっと使いやすく、販路も増えるのではと思ったりも…
以前、タイの知人から頂いた黒砂糖の塊、板チョコ型で使い勝手が良かったので、そんなアレンジも考えてみてはどうかなぁ~。

また、ガイドのペマさん出身地であるチモン村では、現在オーガニックコットン雑穀やスパイスなど、伝統文化と時給自足の暮らしの保存へ向けた生産に力を入れています。
ペマさんのお父さんは、若い頃に豊富な経験を積んでいるまだまだ元気なおじいさん! 片道30分ほどの山道を毎日通って畑作業をされています。

そして、おかあさんがコットンプロジェクトのリーダー! 村の女性のほとんどが関わっており、35年ぶりという綿花の栽培、収穫から糸紡ぎ、機織りに加え、草木染など一貫した生産を行っています。特に「綿挽き」は、昔日本が布団の中綿作業で行っていた弓打ちスタイル! とても手のかかる作業です。


もともとは男性の伝統服ゴが仕立てられていた布。今は幅や長さ、風合いなどもいろいろ変え、クロスやストールなどそのままの仕様が多いのですが、タイやインドではその布を使った製品化も進んでおり、私自身も何かしら関わっていきたいと思うプロジェクトの一つです。

さらに今後リーダーとして期待されている女性は、若く感性もある女性でしたので、とても期待が持てそうです。
これまで私自身も幾つかプロジェクトを立上げてきたので、継続させていくことはいろんな意味で大変かと思いますが、応援しています!

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環境NGOサムドルップ・ジョンカー・イニシアテイブSJI


Putting GHN into practice!
国が掲げるGHN(国民総幸福量)を「理論ではなく実践として継続すること」を目標に、理想やキャンペーンで終わらせるのではなく、各家庭・村レベルで何ができるかを考え行動している団体「SJI」


そこへの訪問が、私にとって「今回の旅のハイライト!」でした。
現在一番力を注いでいるというプロジェクト【ZERO WASTE】(ゼロ・ウェイスト)

 
・Organic Agriculture & Seed Bank(有機農業、種の保存)


・ローカル経済
などをテーマに、ブータンのGNHを村落コミュニュティーから草の根で具現化することに力を注いでいます。代表のゾンキーキエンツエ氏は50代ですが、チベット仏教界の師とも言われ、社会参画する仏教として、様々な活動をしている素晴らしい方だと思いました。そのSJIは2010年に設立され、2015年にNGO認可。これからの活動に多くの期待が寄せられていることが伺えますね。

 

・リユース⇒クラフトグループが製品化し販売
Mindful choice in our daily life

廃棄になる食べ物や衣服がとても多い今の日本....  贅沢や豊かさを取り違えてしまった多くの日本人にとって、これからは「ホンモノの豊かさを築いていく時代」へと向かうことが大切なのではないでしょうか。

 

当日は、プログラムデイレクターのCheku氏と共にスライドでの丁寧な説明を受け、20代スタッフのカルマさんが有機農業の畑や種の保存部屋を案内してくれました。
SJIのスタッフはとても若い方が多く、未来を築く上でも期待が大きいかと思われましたが、業務はハードワークの為2年くらいで辞めてしまう方も多いらしく、「現場の改善の必要もあるのかなぁ~」と、ちょっと残念な側面も感じてしまいました。

後日、町にある直営店でリサイクルファブリックを使った製品なども拝見。
バックなど色目はお洒落でしたが、デザインや縫製などの改善点が多いと感じました。フェアートレード、東北支援しかり、コンセプトは素晴らしくても、やはり製品としての魅力も伴わない限り「買っていただく」ことや継続は難しくなります。
「食べたい!」「欲しい!」と感じていただくことは、理屈ではないので....   今後の課題かと思います。

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・Organic Agriculture & Seed Bank
7年間で30種類の作物を生産するようになった有機農場
種は政府からも支給されるそうですが、収穫物や堆肥を一般に販売するまでに成長したのも、チーフのセリン氏(バンダナシバ氏から教えを受けた第一人者)のお蔭でしょう。
「最も大事なことは堆肥」として、牛の糞や尿、藁などを主に堆肥作りをしており、通常生はごみも堆肥作りに応用されますが、ここでの生ごみは家畜の餌に使うためゴミとして残らないそうです。

その後、種の保存部屋へ。
蕎麦やトウモロコシ、雑穀など「古代種」や「在来種」の保存に力を入れ、現在は伝統的な農法の聞き取り調査中とのこと。
さらに、「種を蒔く時は、牛の尿に数分浸して蒔く!」という、まさにバイオダイナミック農法(シュタイナー農法)とも通じる農法だと感じました。
まさにSustinable & Createive Life

 

・ローカル経済
3年前はアルコール中毒者90%、それが今年は50%へと変わったメンチャリン村。
村の衛生面の改善や、陶芸や農業など新たな労働を産み出し、3年前に比べ若者も60%増え、村の活性化、自立化へと変化し続けているモデル村です。
現地を視察はできませんでしたが、3年という期間での成果は大きいと感じます。


国家の開発は道路やビルなどのインフラ中心であるのに対し、SJIでは「コミュニュテイの持続可能性」を意識しています。
Inner  Depelopment!
それぞれの村や地方が活性化し、持続可能な生活ができることは、今の日本が都市集中型となり、地方では高齢化と過疎化が進む今、とても参考になるプロジェクトですね。


お金では買う事の出来ない「豊かさ」を、様々な面から感じるブータン。厳しい環境にも「また行きたい!」と感じるブータン! ありがとうブータン!

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