神奈川県議会 令和2年第3回定例会(9月7日~12月17日)
神奈川県議会 令和2年第3回定例会
意見発表(要旨)
1. かながわ環境整備センターの運営について
産業廃棄物最終処分場として県内初のモデル事業「かながわ環境整備センター」は県民の生活環境を守る上でも極めて重要な施設であるが、一方で、維持管理には多額の費用がかかっている。
埋め立て期間は、平成18年から10年間の計画より延長が行われ、令和10年までの計画となった。引き続きコスト削減に努めて頂くとともに、地元住民の安心・安全を確保しながら、着実に廃棄物処理に取り組むと共に、終了後の跡地も有効に活かしていただくよう要望する。
2. ナラ枯れ対策について
県内においては平成29年より確認され年々被害が多く報告されている。
全面的な対策は非常に困難だと思われ、当県も様々な取組みを行っているが、気候条件・地形・斜面方位・土壌環境などとの関係性も調査していく
必要がある。
今後も多様な知見を取り入れながら、森林環境の維持と共に、関係機関と
連携してメリハリのある対策を進めていだたくよう要望する。
3. 密漁対策について
本県では、一般の方が海に遊びに来て、サザエなどを採捕する密漁が多いという特徴だが、漁業者にとっては、漁業経営に影響しかねない問題である。
今後、罰則も強化されることから、「密漁禁止」の看板も多言語対応等、一般の方から外国人の方へサザエやアワビ等の採捕が密漁になることをしっかり周知し、警察や海上保安部とも連携した取り締まりを強化するよう要望する。
4. 地球温暖化対策に関する普及啓発について
近年、県内においても台風による大きな被害が生じ、世界では大規模な森林火災など、熱波や海面上昇などにより様々な被害が生じている。
その要因には、地球温暖化などの気候変動の影響があると言われており、その対策は最も重要である。
「2050年脱炭素社会の実現」の目標達成のためには、今後、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー対策といった、地球温暖化防止のための取組みは重要である。
県民ひとりひとりが、「目の前の台風や災害は温暖化の影響と直結していること」をしっかり意識することが、「命を守ることに繋がる」という認識を抱いていただけるよう、地球温暖化防止活動推進員を始め、様々な団体等としっかり連携し、家庭における地球温暖化対策の効果的な行動変容の普及活動に努めていただくよう要望する。
5. ペットボトルなどのプラごみ削減や再生利用推進について
国連環境計画の報告では、日本は、プラごみの中で一番多い容器包装の廃棄量がアメリカに次いで2番目に多いとされている。
また、今月20日、海洋研究開発機構の発表では、特に問題なのが「マイクロプラスチック」とし、これが海洋生物の生態系を破壊し、人体への影響も心配されていると伝えられた。
今後は、県でもペットボトルからペットボトルの再生利用を進める一方で、マイボトルの普及やウォーターサーバーの設置促進など、ペットボトル自体を減らす努力など、プラごみ全体の削減に結び付く、具体的な取組みにも積極的に取り組んでいただきたい。
また、今回の「かながわペットボトルモデル事業推進コンソーシアム」のメンバーも今後は幅広い企業の加入を促し、環境経営へのシフトを各分野で展開していただくよう要望する。
6. 食品ロスの削減に向けた取り組みについて
2019年度の農林水産省の発表によると、日本人一人当たりの年間食品廃棄量は世界で第6位、アジアではワースト1位という多さであり、その内、およそ50%は家庭から発生、県内の家庭系から出る食品ロスは平成30年度実績で22万トンである。
我が国の食品ロスは、生産、流通、消費の各家庭で発生しており、その削減には、事業者、県民一人ひとりが、自分事として、食品ロスを意識し、具体的な行動を起こすことが必要である。
今後、県として策定する「食品ロス削減推進計画」において、事業者、県民への普及啓発、食品ロスの削減目標を位置付けるとともに、県内市町村や企業、団体等と連携しながら、実行性のある食品ロス削減対策にしっかりと取り組んでいただくよう要望する。
12月の常任委員会では、以下の2点の要望を行いました。
1. 有機農業の推進について
コロナ禍における「食」への関心度は高く、家庭菜園や有機農業など「農」への参加も増えている今、世界が目指す持続可能な社会を実現するためにも、有機農業の推進は重要と考え、第2回定例会の本会議では「持続可能な有機農業の推進について」の質問をしたところです。 国ではH18年に初めて「有機農業」を推進する法律が成立し、県においてもH21年「有機農業推進計画」を策定され、先日、農業の技術開発と普及を行う農業技術センター、農業の基礎から実践まで学ぶ農業アカデミーを視察した。国内における有機栽培の畑の割合は耕地面積の約0.2%しかなく、県内有機農業数もまだまだ少ない。そこで、本会議での答弁を踏まえ、本県有機農業の推進に関して以下を要望しました。
【要望】
環境保全型農業への移行も進み、多様性に富んだ農作物を生産する日本ですが、コストと品質を維持するためにこれまで日常的に使用されてきた農薬が、海外では使用基準が強化されてきている。耕地単位面積当たりの農薬使用量では日本は何と農薬使用大国ランキング世界第3位。しかも、ブドウを例にすると日本人は安全基準値がヨーロッパの500倍という濃度でネオニコチノイド農薬を身体の中に入れています。
国産の輸出食材に対しても厳しい基準が課されるようになっており、誰もが望む安心安全な食に対し、県内有機農業への推進はとても重要です。また、2018年種子法廃止後は、各地で自治体による種子法制定の動きが加速し、現在は22道県が条例を制定。今回の種苗法改定には多くの方が疑問や不安を述べている中、県では遺伝子組み換え作物に関する条例を作成されているように県の多様な品種を保護する「環境条例」など育種知見を条例で守る、ジーンバンクを設立する、などの対策を考えローカルフードを守ることも重要と考える。
自然と調和し共生する社会の形成へとも繋がる有機農業の推進として、有機農業による生産される農産物の表示ルールの普及啓発支援、新規有機就農者や転換有機農家に対しては有機農業研究者等と日常的に交流する研究体制と普及指導のさらなる体制整備、内容の充実、経営支援を強く要望します。
2. 試験研究機関の取組について
環境農政局所管の試験研究機関を視察しました。
自然環境保全センターではナラ枯れ対策や無花粉ヒノキ(発見は全国初の県の品種登録、挿し木や接ぎ木などで各地で植栽)・杉の取組、環境科学センターでは、マイクロプラスチック関連の取組や異臭の成分分析の機器などを見学、畜産技術センターでは、県内初のブランド肉用鶏である「かながわ鶏」や「環境制御型養豚施設」などを視察、これら試験研究機関の取組みについて、以下の要望をしました。
(要望)
各試験研究機関においては、環境・農林水産分野における研究や開発など行い、世界が抱えるマイクロプラスチックの汚染実態の把握から、県民からの様々なニーズに基づいた研究活動、地域が抱える課題として、本年度はナラ枯れや異臭騒ぎの解決に取り組んでいることを理解した。特に今年被害が大きいナラ枯れは今後も関係機関と連携し、被害の把握と併せて、被害森林のその後の状況を把握することも重要と考える、できる限りの対策を進めていただき、フォローをお願いしたい。
引き続き、生産現場や各産業の従事者に役立つ研究などに取り組んでいただき、県民生活の質の向上に努めていただくことを要望する。